1984年作品。
阿佐田哲也の原作小説「麻雀放浪記」
の第一巻(青春篇)を映画化。
監督は、デザイナー、イラストレーターとして当時活躍していた和田誠。
原作の持つ世界観の再現性の非常に高い作品。
舞台は敗戦直後の東京(銀座/上野界隈)。
瓦礫の残る廃墟、復興前の東京の風景を映画はモノクロームで描く。
元々デザイン、イラストの表現の世界に投じていた和田監督らしい拘り。
観るものは嫌味なく、すうっと入れる。
物語は、この街を舞台に混乱の中を生きる"さすらいのギャンブラー"たちを描く。
引き上げてくれたクラブのママには、「いい?この世界は、ボスと、手下と、敵しかいないの。」と教えられ、それでもそこに友情や愛や求めつつ生きる年若いギャンブラー"坊や哲"(真田広之)を軸に、一癖もニ癖もギャンブラーが集まる。彼らとの出会いから新たな人生を学んでいく・・・
日本では、このタイプの映画が少ないです。
なぜでしょうか?
1993年製作のフランス映画。
日本公開は1994年。東京・渋谷のBunkamura
ル・シネマで。
ポーランド出身のクシシュトフ・キェシロフスキ監督作品。
フランス国旗"トリコロール"の青/白/赤に模した三部作の第一作。
青は、自由。
白は、平等。
赤は、博愛、が国旗に描かれる色の意味。
この作品は「青」=自由(再生)を描く。
ヨーロッパの著名作曲家の妻が主人公。
夫が来るべき欧州統合を前にそれを記念した協奏曲を作曲構想中、家族で交通事故に遭う。
そして夫と幼い娘を失う。独りだけ生き残る。
事故により自身も重傷を負い病院に入院中、現実に絶望し一度は死を選ぼうとするが、そこから向き直り"再生"の道を選ぶ。
しかし、なぜか夫の新曲の旋律が甦ってくる。彼のパートナーは未完の協奏曲の完成を宣言する。そして夫の過去の秘密までもが・・・
この難役を演じたのがジュリエット・ビノシェ。
極力感情表現を抑えた演技で映画そのものをコントロールする。
それでも抑えつつ、夫のパートナーだったオリヴィエとの対峙、夫の過去の愛人との対峙など、その時々に想いを伝えていく。
それは自らが自由になることにより、周囲の人をも再生し解放しようとするかのよう。